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サンゴの蛍光

キーワード:蛍光、蛍光タンパク質、走光性、走性、誘引

私たちの研究成果 

 サンゴが褐虫藻を環境中から獲得して共生させるには、まず褐虫藻と出会う必要があります。しかし、環境中の褐虫藻密度は非常に低く、偶然出会う確率は低いはずです。では両者はどうやって出会っているのでしょう?以前から、サンゴには褐虫藻を誘引する何かを持っていると予想されていましたが、その何かは不明でした。私たちは、サンゴがもつ緑色蛍光タンパク質(GFP)に着目し、生理学をメインに研究を進めて以下のことを明らかにしました(論文1)。

1)サンゴが緑色蛍光を発する光環境において、海水中の褐虫藻がサンゴに集まること。

2)緑色蛍光ペイント(市販品)にも、海水中の褐虫藻が集まること。

3)遊泳型の褐虫藻は強い青色光に対しての負の走光性(光源から逃げる反応)と、弱い緑色に対しての正の走光性(光源に向かう反応)があること。

 これらの結果により、サンゴの緑色蛍光が褐虫藻の誘引に働くことが明らかとなりました。自然界では、褐虫藻は太陽光(強い青色光を含む)に対して負の走光性を示すため、太陽光を避けるように深い方に向かって泳ぎます。そこでサンゴが太陽光を利用して緑色蛍光を発していると、褐虫藻はそれに対して正の走光性を示すため、サンゴに向かって泳ぎます。これにより、両者は出会っていると考えられます。

今後はなにを研究するの?

 サンゴがもつ蛍光タンパク質はGFPだけではありません。青やオレンジや赤の蛍光を出す蛍光タンパク質が存在します。また、褐虫藻を共生させないサンゴ種にも蛍光タンパク質が存在します。私たちは、蛍光タンパク質の働きを幅広く理解するために研究を進めています。

参考論文

  1. Aihara Y, Maruyama S, Baird AH, Iguchi A, *Takahashi S, *Minagawa J (2019) Green fluorescence from cnidarian hosts attracts symbiotic algae, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 116: 2118-2123.