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サンゴ礁保全(Re-Reefプロジェクト)

キーワード:養殖、移植、環境適合化、地球温暖化

なにを研究している?

  熱帯・亜熱帯に広がるサンゴ礁は地球の表面積の0.1%以下にもかかわらず、そこには海洋生物の40%の種が存在しており、生物多様性に富んだ貴重な生態系が築かれています。サンゴ礁生態系は漁業や観光業に多大な経済効果(世界で年間298.3億ドル、日本で年間16.7億ドル)をもたらしている他、最近では生物学的資源(薬品など)の宝庫としても注目されています。しかし、地球温暖化により、サンゴ礁生態系の貧弱化が進んでおり、過去30年でサンゴ被度は世界で20%も減少しています。そのため、気候変動枠組条約の締約国会議(COP)でも、サンゴ礁保全対策が急務とされています。

 過去20年以上、サンゴ礁保全対策の一つとして、サンゴの養殖・移植事業が期待され、国内外で積極的に推進されています。しかし、海水温が異常に高いと、自然のサンゴと同様、移植サンゴも白化・死滅します。これでは、サンゴ礁保全対策としては不十分です。そこで私たちは、従来のサンゴの養殖移植技術に、私たちの研究室で進めている「サンゴを高温に強くする技術(高温適合化技術)」を導入し、サンゴの生存率の向上を目指しています(下の図)。このプロジェクトは、サンゴ礁(Reef)を取り戻す(Re)という想いをこめて、Re-Reefプロジェクトといいます。

 

どのようにサンゴを高温に強くするのか?

 サンゴに共生する褐虫藻は多種多様で、高温に強い種も存在します。そのため、サンゴは共生する褐虫藻の種を変化させ、高温環境に適応することが知られています。しかし、自然界ではサンゴの高温適応は容易ではありません。私たちは、沖縄の沿岸からできるだけ多くの褐虫藻の種を単離培養し、その中から高温に強い褐虫藻種を見つけ、これを人工的にサンゴに共生させることで、サンゴが高温に強くなることを水槽実験と野外実験で検証します。検証後、従来の「サンゴの養殖・移植技術」に新たな「サンゴの環境(高温)適合化技術」を導入し、サンゴの養殖・移植事業に革新をもたらしたいと考えています。この新たな技術は、人工的なサンゴ礁(人工サンゴ礁)の構築による環境保全(環境回復)、観光資源や漁場の創出、より自然な防波堤の設置などに役立つことが期待されます(下の図)。この研究課題は挑戦的研究(開拓)の支援により行われています。

サンゴの白化: 研究

©2021 by Takahashi Lab @ Sesoko。

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